地下室の牝鳴き

24日目夜。
その日はセレナの牝犬調教に置いてターニングポイントとなった日であった。
昼にセレナのピアスを引き千切り、過酷な無限淫獄調教の記憶を焼き付かせ、さらに夜遅くまで徹底的に口奉仕の調教を繰り返した。

その夜、グロダは自分の書斎で調教の進捗状況を確認していた。
薄暗い書斎は、かつてセレナに乗り込まれた場所だった。
壁一面にぎっしりと詰め込まれた古びた本は、その多くが年代も内容も不明なものばかりで、革表紙には使い込まれた跡や魔力の痕跡が刻み込まれている。
天井からは魔法灯が下がり、青白い光が書斎を照らしていた。

暗く静かでアナログなこの空間が、転生前は社畜として命をすり減らしていたグロダには心地よかった。
机の上は相変わらず雑然としており、資料や計算式が書かれた紙、使い古されたペンが散らばっている。
その中心にグロダの『能力』によって、セレナのステータスウィンドウが青白い光を放ちながら浮かんでいた。

「・・・ふむ、これは予想以上だな。」
声に出す必要はなかったが、想像以上の調教の成果を目の当たりにすると、思考を口にするのを抑えきれなかった。セレナのステータスウィンドウの数値は、彼の計算を遥かに超えていた。
「服従心がここまで伸びるとは・・・。集中的に落とした快楽もそうだが、奉仕が異常な成長を見せている。」

グロダは、セレナのステータスウィンドウを見つめながら、この調教が成功した要因を考えていた。
セレナの調教プログラムには、彼女の精神性と銀狼族特有の特性を徹底的に活用する蟻地獄が仕込まれている。
一度堕とした程度ではあの高潔な精神は屈しない。そのため、記憶を消しては、何度も、何度も、何度も淫堕調教を繰り返したのだ。
魔法媚薬を使ったセックスにより、発狂スレスレの快楽を与える事で、「主人」であるグロダへの愛情と、快楽を貪ることに本能的な喜びを感じ始めているのだ。
結果、彼女の精神は『主人への服従』を受け入れた。そしてそれはセレナの魂にまで根を張り、今では心も体もグロダに完全屈服し、『主人への服従』がセレナの心を支配するようにまで成っている。
家族や仲間への愛情が深く依存性が高いという、銀狼族の犬のような特性を逆手に取り、で牝犬奴隷としての『役割』を与える事で、セレナが元々持つ家族愛を『主人に対する服従』へと置き換えていったのだ。

銀狼族の鋭敏な臭覚を生かした改造も上手くいった。彼女の嗅覚神経に『設定変更』で介入し、絶頂の度に脳内で欲求や幸福感を司るホルモンの分泌を強制的に促進するよう設定変更していった。
その結果、彼女は極度の臭いフェチになった。
それも単なる臭いフェチではない。『主人』の臭いが大好きという、より変態的な嗜好だ。彼女の脳内では、グロダの汗の臭いや口臭が媚薬のような効果を持つようになり、彼の体臭を感じるだけで発情し、股間を濡らすようになっていたのだ。
特に精液はもはや極上の麻薬を超えるほどの多幸感と依存性があり、奉仕の最中は彼女の脳内は『主人』と『快楽』以外の概念を失っていった。
そして、その調教を徹底させるために取り入れたのが、調教の最終段階の口奉仕による精液摂取である。
口奉仕で精液を飲む度に、脳内を狂わすほどの多幸感と淫悦が膨れ上がり、彼女の肉体と魂を牝犬奴隷として蝕んでいった。口奉仕でセレナの魂に擦り込まれた快楽は、彼女の意識を支配し、自身の全てを捧げる『服従』を『常識』として刷り込み始めていた。

調教が始まって3週間程だが、肉体的な変化も顕著である。特にバストはGカップからHカップに成長しており、乳首も乳輪も大きく膨らみ、胸全体がより柔らかくなった。
元々、騎士として引き締まっていた肉体は、全体的に脂肪が乗ったことで女性的な丸みを帯び柔らかい曲線を描き出し、それでいてハリのある肉感がより強調される。
さらに、腰のクビレはより深く、お尻も大きくなり、全身から母性的ですらある魅力が滲み出ている。
特にお尻は大きくなり、安産型のヒップサイズは100cm以上になっていた。

さらに、その肉体の変化に合わせてか、精神面も変化している。まず、最初の調教では『主人への服従』を拒否するか、抵抗が激しかった。しかし、記憶を消しては淫獄調教を繰り返していく内に無意識のうちに『主人への服従』を受け入れるようになり、最後には進んで快楽を貪るようになっていた。

「銀狼族の牝犬奴隷としての精神改造がここまで上手くいくとは思わなかったな・・・。それに肉体的にはここまで進めば牝犬奴隷として熟れきったと言えるだろう」
精神的にはまだまだ調教は必要だが、肉体は牝としてある程度の水準には達している。

「だがまだ足りない。もっともっと、徹底的に堕ちてもらわなければな・・・」
そういって、グロダの目がステータスのある項目にとまる。
「被虐」・・そして「羞恥」。
この二つの項目は初期値から大きくは変わっていない。
誇り高い銀狼族の騎士は、淫悦の地獄に突き落とされても、まだなお乙女としてのプライドを保っているのだ。
(・・・だからこそ面白い)
グロダの口元が、嗜虐的な笑みで歪む。
「さて・・・明日からは、牝犬に相応しい変態芸を仕込んでやるぞ、セレナ」
そう呟くと、グロダは薄く微笑み、ステータスウィンドウを閉じた。

 

 

 

 

翌朝、いつものように二人で朝食を終えると、セレナはグロダに首輪のリードを引かれ、屋敷の廊下を歩いていた。
いつものように全裸で、今日は後ろ手に手首を縛られている。
歩く度にゆさっ、たぷんっと揺れる胸。丸出しの尻が左右に揺れ、そのエロティックな肉付きを主張する。

「ふっ・・・ふぅ・・・」
彼女の口から熱い吐息が漏れる。
昨日、グロダに仕込まれた淫獄の快楽を思い出しながら歩いているのだ。

(ああ・・・わたしは・・・なぜ・・・あんなに・・・)
昨夜の記憶を思い出すだけで子宮が疼き、乳首が勃起し、秘所からは愛液が滴る。
淫悦と羞恥に染まった恥辱の記憶が、セレナの精神を蝕んでいく。

(でもあと、6日。・・・あと6日耐えれば・・・)
そう、あと6日たえれば解放される。それだけが今のセレナの心の支えだ。
例え今はグロダに徹底的に淫悦を叩き込まれ、肉体と魂を調教され、服従することを悦びとする牝犬奴隷へと変えられたとしても、6日たてばこの恥辱の日々は終わるのだ。

(・・・でも、本当に?)
ふいに、疑問が鎌首をもたげる。
(本当にあと6日で解放してくれるの?)
何度も自分を奮い立たせようとするが、その疑問に心が引き裂かれそうになる。
(もしかしたら・・・)
最悪の想像が脳裏によぎる。
グロダが契約を破り、自分は永遠にこの屋敷に囚われ、一生を『牝犬奴隷』として生きるのではないか・・・と。

(そっ、そんなこと!)

反射的にセレナは首をぶんぶん振ってその考えを吹き飛ばす。だが、一度湧き上がった疑念は彼女の心を蝕んでいく。
この屋敷に閉じ込められ、グロダの性玩具にされる日々。毎日のようにご主人様に体を貪られ、圧倒的な快楽の沼に溺れる日々。
肉棒に奉仕し、精液を味わい、雄に屈服することを幸福とする牝犬としての生活。
外の社会では自分は行方不明とされ、当初は仲間達が探してくれていても、何年もの月日の中でやがては誰からも忘れ去られていく・・・。
そして、身も心もグロダに捧げ尽くし、彼の『牝犬奴隷』として生きることを至上の喜びとする未来。

そこまで想像した時、セレナの背筋にゾクゾクとしたものが駆け上がる。
(そっ、そんなこと・・・!)
必死に妄想を振り払おうとするが、一度浮かんだ未来予想図は彼女の脳裏にこびりつき、離れない。
「ふっ・・・ふぅぅぅ・・・」
(だめ・・・だめよセレナ。そんな未来はありえないわ)
そう自分に言い聞かせ、なんとか平静を保とうとするが、その心とは裏腹に秘所からはとめどなく蜜が滴る。
セレナは自分の太ももを伝う熱い雫に気が付かないふりをした。

 

「着いたぞ」
グロダの声にハッと我に返ると、屋敷の倉庫の隅にある石畳のスペースだった。
グロダが呪文を唱えると巧妙に隠されていた隠し扉が開き、地下へと続く階段が現れる。
「ついて来い」
グロダにリードを引かれ、セレナは階段を降りていく。

階段の先には、石造りと壁と床で出来た10m四方ほどの地下牢のような空間があった。
こんな空間は、事前の騎士団の調査にも記載がなかった。

セレナが見たことも無い様々な拷問器具や淫具がいくつも置かれており、その一つ一つがセレナに恐怖と不安を植え付けていく。

 

「ここは・・・」
「牝犬奴隷の調教部屋だ」
「・・・!」
その言葉にセレナの心臓が大きく跳ねる。
「さてセレナ、これからはお前が『自分は主人に絶対服従する牝犬奴隷』であるという自覚を、徹底的に叩き込んでいく」
グロダの言葉に、セレナの顔が恐怖と絶望に引きつる。
これからどんな目に合うのか、想像もつかない。

グロダは不安げなセレナの裸体をあらためて観察する。
若く瑞々しい張りのある肌、ここ数日の調教でさらに大きく熟れて張り詰めた乳房、むっちりとした太もも、プリンッと張り出した安産型の尻。
「はははっこの数日でだいぶ熟れてきたな。その瑞々しい体も、いやらしく熟れた肉体も俺好みになってきた」
グロダの舐めるような視線にセレナは身を隠すように体をよじるが、調教で肥大化させられた乳房や美尻は隠しようがない。

「さて、まずは『牝犬奴隷の挨拶』からだ、『待て』のポーズで調教開始の挨拶をしろ」
「!」
グロダの言葉に、セレナの体がビクリと震える。
脳裏に『待て』のポーズが思い出される。『両手を頭の後ろで組み、ガニ股で女性器を見せつけながら挨拶をする』。
あの屈辱的なポーズを取らされるのかと思うと、セレナの顔が絶望と羞恥に歪む。

「いや・・・いやぁ・・・」

弱々しい抵抗の言葉を漏らすが、折れ切った心は、もうグロダの命令に逆らうことが出来ない。
ゆっくりと両手を頭の上で組み、ガニ股になって腰を突き出す。

「あっ・・・ああぁぁっ!」

セレナの口から、絶望の悲鳴が漏れる。
「ふっ・・・いい格好だな」
グロダは嗜虐的な笑みを浮かべながら、セレナの無様なポーズを鑑賞する。

 

セレナ本人は気が付いていなかったが、以前命じた時より大きく足を開き、脇やオッパイを大きく晒す『より牝犬らしい』ポーズを取っていた。

セレナの心が順調に牝犬になっている事を感じながら、グロダが次の命令を発する。
「さて、これからお前に『牝犬奴隷の挨拶』をしてもらう、まず『挨拶』の口上を教えてやる」
「口上・・・」
「そうだ」
グロダは、セレナの耳元に口を寄せて、セレナに囁きかける。

「これからお前は『わたしを立派な牝犬奴隷になるように調教してください』と心の底から懇願するんだ」

「・・・!」
セレナの顔色がさっと青ざめる。あまりにも、屈辱的な口上だった。
「その言葉を、自分で出来るだけ淫らになるように変え、大声で叫べ」
「えっ!」
口にするのもはばかる言葉、それをさらに自分で考えてより淫猥にしなくてはならないのだ。
(そんな・・・)
セレナは唇を噛み締め、しばし逡巡する。
だが、この数日で折れた心では反抗する事が出来ない。やがてゆっくりと口を開き、震える声で口上を叫び始める。

「わ・・・わたしは」

「声が小さいぞっ!」
グロダの怒鳴り声に、ビクッと体を震わせる。

「・・・わたしをご主人様に・・服従する・・・」
「もう一度だ」

「わたしを主人に絶対服従する牝犬奴隷になるよう、調教してください!!」

セレナの絶叫が石造りの部屋中に響き渡る。その目には涙が浮かび、顔は羞恥と屈辱で真っ赤に染まっていた。
「ダメだな、ほとんど元のままではないか。もっと淫らに媚びた言葉にして叫べ」
グロダの無慈悲な言葉に、セレナは恥辱に顔を歪ませる。
「どうした?早くしろ」
「くっ・・・!」
セレナは目をぎゅっと閉じると、再び口を開く。

「・・・わ・・・わたしは・・・」

「もっと大きな声で!はっきりと!!自分は何者かを言え!」

「わ、わたしは・・・銀狼族の騎士、セレナ・は・・・」

だが、その一言を言っただけでセレナの体は硬直する。
「どうした?続きを言え」
「ううっ・・・」
命令され、セレナは唇を噛むがやがて意を決したように口を開く。

「・・・わ、わたしは・・・銀狼族の騎士、セレナ・ソティス・ルプスを・・・」
(だめ!言っちゃだめ!)

心の中で必死に抵抗するが、一度開いた口は止まらない。

「主人様に絶対服従する牝犬奴隷に・・・。調教、してください・・・!」

「そんなんじゃダメだな」
「くっ・・・」
自らの誇りを踏みにじり、血を吐くようにして口に出した言葉を一蹴される。

「もっと淫らに媚びろ。銀狼族の誇りなど捨てろ!牝犬奴隷として生きるのだ!!」

「くっ・・・!わ、わたしは銀狼族の騎士、セレナ・ソティス・ルプス。主人様に絶対服従する牝犬奴隷として調教してください!!」

「もっとだ!もっと淫らに媚びてみろ!そうだな、こんなのはどうだ・・・」
グロダはそう言うと、セレナの耳元に顔をよせ、セレナに自分自身の魂をさらに口汚く罵る言葉を教える。
セレナは涙を流しながら絶叫する。

「わ、わたしは銀狼族の騎士、セレナ・ソティス・ルプスは・・・わたしは、銀狼族なのに・・・ご主人様の牝犬奴隷になる事を心から望んでしまう変態女です!どうか、わたしを牝犬奴隷にしてください!」

「もっとだ!もっと淫らに媚びろ!!」グロダはセレナにさらに罵声を浴びせる。

「わ、わたしは銀狼族の騎士、セレナ・ソティス・ルプスは・・・!主人様に絶対服従する牝犬奴隷になる事を望む、変態マゾ女です!どうかわたしを、立派な牝犬奴隷に調教してください!」

「よし、まあいいだろう」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
セレナは、荒く息をつく。その顔からは血の気が引き、全身にびっしょりと汗をかいていた。
「どうだ?自分の変態性を自覚して、自分がどれだけ淫らで淫らな牝犬奴隷なのか理解できたか?」
「・・・はい・・・」
セレナは消え入りそうな声で答える。うなだれるその姿には、もはや誇り高い騎士の面影はどこにもなかった。
「まあ最初としては上出来だ」
「・・・」
セレナは羞恥と屈辱に震える。だが、それはまだほんの始まりに過ぎなかったのだ。