淫獄の輪

グロダは、意識の無いセレナを抱きかかえると、風呂場へ運び込んだ。
そして、様々な淫液でベトベトに汚れた女体を隅々まで無遠慮に洗い清めていく。
美しい肢体を全身を泡だらけにし、頭から爪先までしっかりと洗い上げる。
もちろん膣内にも指を入れ、念入りに洗ってやる。そして最後に尻の穴まで丹念に掃除してやるのだ。
先ほどまでの淫らな調教の事など嘘のように、優しく丁寧に汚れを落としていく。

 

セレナは途中で意識を取り戻していたが、もはやグロダに歯向かえる意志はない。
彼女にはかつての凛々しい面影は無く、その瞳からは光が消えていた。
グロダは無抵抗のセレナの全身を丹念に洗い清めると、タオルで水気を落とし、裸のままいつもの部屋の隅の食卓の椅子に座らせる。
丁寧な入浴で、セレナはまるで生まれたてのような美しさを取り戻していた。

ただし元に戻ったのは体だけだ、セレナの心はグロダの牝犬奴隷調教に完全に屈服してしまっている。
銀狼族の誇りである耳は垂れ、完全に負け犬の目をしている。そんな彼女に、グロダが優しく話しかける。

「どうだ?負け牝犬に堕ちた気分は」
「うっ、ううぅぅぅう・・うううぅ・・・」グロダの問いにセレナがポロポロと泣き始める。そこには誇り高い銀狼族の戦士はおらず、魂の底まで屈服しつくした、か弱い少女がいるだけだった。

「ごめんなさい・・・わたしが愚かでした・・・。二度と逆らいません・・・だから許してください・・・」
セレナはうつむいて嗚咽混じりに必死に哀願する。その姿は、とてもかつて誇り高い騎士であったとは思えないものであった。だが、今のグロダにとってはそれすらも愛おしい。

セレナの顎を掴み上げ強引に唇を奪う。舌を差し込み口内を犯していくと、彼女もそれに応えるように自ら舌を絡めてくる。
しばらくの間互いの唾液を交換し合う濃厚なキスを続ける。やがてどちらからともなく唇を離すと、銀色の糸が二人の口の間で橋を作った。

セレナは『設定変更』と今までの調教により、キスをするだけで幸福感と安心感で満たされるようになっている。その為、グロダとキスするだけでだいぶ落ち着き、目に生気が戻ってきた。
(気の強い女が全裸で泣いている姿だけで、そそるものがあるな)
グロダはそんなセレナの様子を見ながら、セレナをさらなる淫獄に堕とすべく次の調教へ進める事にする。

「よし、次の段階に進むか」
その言葉にセレナはビクリと体を震わせる。恐怖と・・・同時に期待している自分がいる事に気付いていた。
(嫌っ・・・こんな感覚をわたしは知らないはずなのに・・・。)
快楽に溺れてしまったことを自覚した途端、脳裏に仲間たちの顔が浮かび上がり罪悪感に苛まれてしまう。
だがそんな気持ちとは裏腹に、堕ち始めた彼女の肉体は、次の調教を待ちわびているかのように疼き始めていた。

 

そしてセレナの気持ちなど、完全に踏みにじる淫獄を、グロダは準備していた。
困惑に表情を曇らせるセレナを尻目に、グロダはゆっくりとセレナの首筋に手を伸ばし、首輪を外す。
カチャリという鍵の外れる音と共に、彼女の白く細い首から圧迫感としなやかな革の感触がなくなる。

「え・・・?」
セレナは驚きに目を見開いた。信じられないという表情で首輪を外された自分の首筋に触れる。
「・・・首輪をとるのは、期間の満了か完全に屈服した時だけだったはず・・・なぜ今外したのですか?」
セレナは震える声で尋ねるが、グロダはその質問には答えず、まだセレナの温もりの残る首輪を見せながら説明を始める。

「この首輪には懲罰を与える効果のほかに、装着している間の記憶を吸い取り記憶石に変える効果がある」
「・・・記憶を・・・吸い取る?」
確かに、よく見ると首輪の内側に小さな蒼い魔宝石がはめ込まれている。

(その魔宝石にわたしのこの三日間の記憶が入っているのかしら?この三日間の調教で牝犬として屈服したわたしの記録を、何度も観て楽しむつもりなのかしら?)
セレナには首輪についた蒼い宝石が、自分の中から奪い去られた何かを象徴しているように思えた。

だが、グロダの用意した本当の淫獄は、そんな生易しいものでは無かった。
「ところでセレナ、お前今日が調教何日目かわかるか?」
「え?」
突然の質問に、セレナは何を言われたのか理解できなかった。今日はグロダと契約し調教が始まってから3日目、グロダに捕まり処女を奪われてからは4日目だ。
考えるまでももない。
「3日です」
セレナはそう答えた。だが、それが一体どうしたというのだろうか?

「いいや違うな。・・・今日は調教開始から16日目だ」
「・・・ッ!?」
グロダの言葉に一瞬頭が追いつかない。彼は今何と言ったのだろうか? そんなはずはないのだ。たった数日のカウントを間違えるはずがない。今日が3日目なのは間違いないはず。なのになんで・・・?

混乱するセレナを見てグロダは満足そうに笑みを浮かべる。そして彼女の耳元に顔を近づけると囁いた。
「16日目だ、セレナ。お前はもう、この淫獄で何度も何度も堕とされているんだよ」
「・・・ッ!?」
セレナが息を飲む。

(嘘よっ!そんなはずない!今日はまだ3日目だと・・・)

「今のようにお前を牝犬に堕とした後、この首輪を使って記憶を封印する。するとお前の記憶と心は調教を受ける前の誇り高い銀狼族に戻る。だが肉体と魂はそうではない。清廉潔白な騎士様を何度も何度も堕とす事で、どんどん淫らに歪んでいき骨の髄まで魂の底まで牝犬に堕ちていく。お前の魂を歪め、肉体を堕としていく。それがこの淫獄調教の本当の目的だ」

「・・・そっそんな、こと・・・」

セレナは消え入りそうなほど小さい声で否定する。目の前の現実が信じられず、拒絶したい衝動に駆られる。
しかしグロダの言葉の一つ一つが、自分の中に納得として刻まれていく。
異常なほど感じる肉体。自分の弱点を知り尽くしたグロダの責め。なにより誇り高い銀狼族がたった三日で屈服するだろうか?
グロダの言葉の意味を徐々に理解していくにつれ、絶望感が広がっていく。

「最終的にあと何回かで、お前は心の底から牝犬として生きることを望むようになる」
グロダはそう言いながらセレナの髪を愛おしそうに撫でる。その口調と手つきからはセレナを徹底的に牝犬奴隷へと堕としこもうとする歪んだ欲望があふれ出ていた

「そんな・・・っ!いやっ!やめてっ!」
セレナは恐怖に震え叫んだ。だが、グロダは彼女の叫びなど気にも留めず話を続ける。
「お前を堕とすのに最初は7日間かかった。さすが銀狼族だ、なかなかの抵抗だった」
セレナの恐怖と混乱を無視し、グロダは彼女に語り始める。
「次は5日、今回が3日。次はどうだと思う?2日か、それとも数時間か?」

「あぁあああぁ。いやぁぁぁ」
セレナが力なく否定する。
(わたしはもう・・・とっくに堕ちていたんだ)
その事実を認めたくない気持ちと、認めざるを得ない直感がせめぎ合う。

そんなセレナの葛藤など関係ないとばかりに、グロダは次の回の準備を始める。
「さて、4回目の調教を始めよう。最終的に屈服まで12時間を切る事が目的だな」
あまりにもおぞましい言葉に、セレナは絶句する。

「い、いや・・・もう、やめて・・・」

恐怖と絶望で声が震える。だが、そんなセレナの願いをグロダが聞き入れるはずがなかった。
「さあ始めるぞ」
これから行われる事への恐怖で、セレナが椅子を蹴り立ち上がる。
逃げられない事は理解していたが、それでも何度も繰りかえす絶望の調教にセレナは耐えられなかった。
だが、そんなセレナの抵抗をあざ笑うかのように、グロダが軽く手を振ると、設定による魔法が発動しセレナの全身から力がぬけ、また椅子に座り込んでしまう。

「いや、いやっ、もういやぁ!」
セレナは恐怖に顔を引きつらせ子供のように泣き叫んだ。
グロダは泣き叫ぶセレナの声を楽し気に聞きながら、手に持った首輪に魔力を込める。するとみるみるうちに黒革の首輪が小さく縮み、指輪程度の大きさになった。
金属光沢を放つそのリングにはほんの小さな蒼い宝石の粒が付いている。それを手に取ったグロダは、冷ややかな微笑みを浮かべながらセレナに見せた。

「これがお前の記憶だこの記憶石はの中には、「今回の」お前が屈服した記憶が何もかも刻まれている。お前がどんなに泣き叫び、どんなふうに折れたか。その全てがな」
セレナにはその冷たく光る金属のリングが、まるで自分の魂に繋がれた鎖のように思えた。

金属のリングは首輪と同じように、C字型に隙間があり隙間の端が針のように尖っていた。
そして指輪にしては細く小さい。

 

セレナはそれを見て気が付く。
(これリングだけど指輪では無く、ピアス?)

「大丈夫だ。3回目ともなれば慣れたものだろう?」
セレナの怯えた表情を見て、グロダが嘲るようにつげる。
そしていつの間にか着けていたセレナの右耳の『二つのピアス』の上にあてがう。

(なに?このピアス?わたし、こんなの?)

『設定』により今まで意識すら出来なかったピアスの存在に、セレナは驚愕する。
だが、すぐにその『二つのピアス』の意味に気が付き、恐怖に顔を引きつらせる。
これは今までに自分が淫獄に堕ちた回数なのだ。

 

グロダが3つ目のピアスの端をセレナの耳に押し当てる。
本来はピアッサーなどで耳に穴をあけてそこにピアスを通すものだが、このピアスは輪の片方が尖っており、それでそのまま耳に穴を開け、通すようだ。

(ダメっ!お願いやめてっ!)

グロダは嘲笑するように口元を歪め、ピアスを彼女の狼の耳に押し当てた。
鋭い先端が皮膚に触れると、冷たい金属の感触がセレナの全身に鳥肌を立たせる。そして次の瞬間、グロダは力を込めてピアスを押し込んだ。

ブチッン!

金属が皮膚を突き破る音が部屋に響いた。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」

同時に、セレナの耳に激痛が走り、ケモノのような声をあげる。
耳を貫く瞬間、彼女の身体がビクンと大きく跳ねた。その直後、ピアスが紫の光を放ちセレナの頭部を包み込み、彼女の記憶の中で何かが崩れ去る。
だが、それをはっきりと感じ取る前に、セレナの意識は深い闇の底に沈んでいった。

 

こうして、彼女の記憶と精神は、この淫獄に囚われた3日間の間の出来事が蒼い宝石の中へと封印されたのだった。

「これで前回首輪をつけた3日前の朝から今日までの記憶が消える。目が覚めたらまた反抗的な態度で新しい首輪をつけてくれよ」
さらにグロダがピアスに魔力を流し込むと、輪が縮まりリングの隙間が溶接される。
『設定変更』されたこのピアスは、神話級の魔法具でも切断することは出来ない。

「安心しろ、魂が堕ちきったと感じたら全部のピアスの封印を解いてやる。何度も何度も牝犬に堕ちた記憶を一気に味わうことが出来るぞ」
圧倒的火力で魂に服従を焼き付けるこの淫獄調教方法は、何度か試したが、どれ程の聖女や女勇者であっても発狂し廃人となってしまっていた。
「お前ならきっと耐えられる。最高の牝犬奴隷にに堕ちてくれ」
グロダはセレナの右耳にピアスを撫でながら、満足そうに呟いた。
ピアスの穴かから、真っ赤な血が一滴流れ落ちる。それは、封印されたセレナの記憶の血涙のようであった。